歯科のサブカルテを紙から電子に移す手順 過去の紙の扱い・切り替え日・手書きを残す書き方

サブカルテ手書き電子化の手順
棚の紙のサブカルテをスキャンしてタブレットへ移し、ペンで手書きするイラスト

紙のサブカルテを電子にしようと決めたあと、手が止まりやすいのが「棚にある過去の紙をどうするか」「いつから電子で書くか」「手書きのメモはどうなるのか」という移し方の部分です。この記事では、紙・手書きのサブカルテを電子に移す手順を、準備から過去の紙の扱いまで順に整理します。サブカルテそのものの役割や、電子化で確認したい機能は「歯科のサブカルテとは」にまとめています。

移す前に決めておくこと

電子の画面を見ながら考え始めると、紙の書き方をそのまま写すか、新しく作り直すかで迷いがちです。先に次の3つを決めておくと、切り替えがスムーズです。

  • 書く項目── 今の紙のサブカルテに何を書いているかを、数人分の実物を見て洗い出します。毎回のように書いている言葉(「知覚過敏」「次回TBI」など)は、選ぶだけで入力できるタグや定型文にしておく候補です
  • 誰が・どこで書くか── 歯科医師がチェアサイドで書くのか、歯科衛生士やアシスタントが書くのか、受付やカウンセリングルームでも見るのか。これで必要なタブレットの台数と置き場所が決まります
  • 電子にしないもの── 診療録・レセプトは今のレセコンや電子カルテのまま、予約は予約システムのまま、と役割を分けておきます。サブカルテに何でも集めると、かえって探しにくくなります

過去の紙のサブカルテはどうするか

まとめて取り込む

切り替え前に全員分をスキャン

  • 切り替え日から紙を探さなくてよい
  • 棚を早く空けられる
  • スキャンの手間が先に集中する

来院した順に移す

来院のたびにその患者さんの分をスキャン

  • 手間が日々に分散する
  • 来ない患者さんの紙は残る
  • しばらくは棚と電子の両方を見る

患者さんの数と、スキャンに割ける人手で選ぶ。組み合わせてもよい(定期で通う方は先に、それ以外は来院順に)

図1: 過去の紙のサブカルテの移し方

いちばん手間がかかるのが、棚にある過去の紙のサブカルテです。移し方は大きく2つあります。

  • まとめて取り込む── 切り替えの前に、全員分をスキャンして電子に取り込みます。切り替えた日から紙を探す必要がなくなりますが、スキャンの作業が一度に集中するので、休診日や診療後の時間を使う計画が要ります
  • 来院した順に移す── 切り替えの後、来院した患者さんの紙をその日のうちにスキャンして取り込みます。作業が日々に分散する代わりに、しばらくは棚と電子の両方を見ることになります。長く来院していない患者さんの紙は棚に残ります

スキャンするときは、ファイル名や取り込み先を患者さんごとにそろえ、表紙だけでなく写真や図の入ったページも抜けなく取り込みます。紙を1冊取り込んだら、ファイルに「取り込み済み」の印を付けておくと、二重の作業や取り込み漏れを防げます。

切り替え日と併用期間のルール

  1. 1決める

    書く項目・タグ書く人と場所

  2. 2試す

    一部のチェアで1〜2週間

  3. 3切り替える

    この日から新しい記録は電子

  4. 4移す

    過去の紙をスキャンして取り込む

切り替え日を決めて院内で共有し、「どちらに書くか」で迷わないようにする

図2: 紙から電子に移す手順

紙と電子が混ざる期間は、どちらが最新の記録か分からなくなるのがいちばんの困りごとです。次のようなルールを先に決めておきます。

  1. 一部で試してから切り替える── いきなり全員で切り替えず、チェア1台や担当者1人で1〜2週間試し、項目やタグを直してから広げます
  2. 切り替え日を決める── 「○月○日から、新しい記録は電子に書く」と日付を決めて院内で共有します。この日以降は紙に書き足さないのが原則です
  3. 紙に書いてしまったとき── 急ぎで紙にメモした場合は、その日のうちに誰が電子に移すかを決めておきます。移したメモには印を付けます
  4. 見る場所の約束── 「まず電子を見る。取り込み前の患者さんだけ棚の紙を見る」のように、探す順番をそろえておきます

手書きを残したいときの書き方

電子にすると手書きができなくなる、と心配されることがあります。実際には、タブレットとペンで紙と同じように書けるものが多く、キーボードと使い分けるのが現実的です。

  • 手書きが向いているもの── 歯式の上への書き込み、患者さんに説明しながら描く図、急ぎのメモ。部位や形は、文章より書いたほうが早く正確に残せます
  • 文字入力やタグが向いているもの── 後から検索したい内容(主訴・要望・アレルギーの申告など)や、毎回同じ言い回しになる内容。手書きの文字は検索しにくいので、大事な言葉はタグや文字でも残します
  • 写真はその場で── 口腔内写真やレントゲンは、後でまとめて取り込むより、撮ったその場で患者さんの記録に入れたほうが、ひも付け違いが起きにくくなります

スキャンした紙の原本をどうするか

取り込んだあとの紙をすぐに処分してよいかは、慎重に決めます。サブカルテに書いた内容が診療録の一部として扱われるかどうかは、医院の運用や記載内容によります。診療録には歯科医師法で5年間の保存が定められているため、原本を処分する前に、保存の考え方を顧問の先生や所属の歯科医師会などに確認しておくと安心です。電子に移したデータも患者さんの個人情報なので、タブレットのロック、スタッフごとのアカウント、院外への持ち出しのルールもあわせて決めておきます。

まとめ

紙・手書きのサブカルテを電子に移すときは、書く項目と書く人・場所を先に決め、一部で試してから切り替え日を決めます。過去の紙はまとめて取り込むか来院した順に移すかを人手で選び、併用期間は「どちらに書くか・どこから見るか」をそろえておきます。手書きは図や歯式の書き込みに残し、検索したい言葉は文字やタグでも記録すると、紙のよさを残したまま電子に移れます。

PLUM NOTE は、紙のサブカルテを電子に置き換えるためのデジタルノートです。タッチペンでの手書きと歯式の上への書き込みに対応し、よく使う言葉はタグとして選ぶだけで入力できます。過去の手書きのサブカルテもスキャンして取り込め、口腔内写真やレントゲンは iPad ならその場で撮って保存できます(最大20ファイルまで同時に登録)。